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最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)1043号 判決 1966年6月14日

上告人(原告・控訴人) 久保利巳

被上告人(被告・被控訴人)

株式会社百十四銀行

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人松本茂の上告理由第一点について。

所論指摘の原審認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、すべて肯認できる。

論旨は、所論第一和解によって本件不動産に対する被上告銀行の根抵当権が放棄されたから、当時の所有者たる訴外森国太郎は右根抵当権の付着しない本件不動産を有するに至り、これを同訴外人から買い受けた上告人もまた前主と同じ権利を保有するに至ったのであって、その後所論第二和解によって右第一和解契約が解除されたとしても、第三者たる上告人の権利を害されることはないと主張するが、原判決の確定した事実関係によれば、所論第一和解においては、被上告銀行と訴外溝淵正明との間の合意として、被上告銀行が右訴外人の請求により本件不動産に対する所論根抵当権を放棄することを約したに止まり、当時本件不動産の所有者であった訴外森国太郎との間には右和解によって何らの権利関係の変動も生じなかったとされているのであるから、右第一和解によって本件不動産に対する根抵当権の放棄が当時の所有者森国太郎に対してなされたことを前提とする所論は採用するに由ない。

同第二点について。

論旨は、原審の審理不尽その他の法令違背をいうが、その実質は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰着し、採用できない<以下省略>

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊 裁判官 柏原語六 裁判官 下村三郎)

上告代理人松本茂の上告理由<省略>

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